まだ進路の決まっていない選手もいるかもしれませんので、
今回はセレクションについて、書いてみたいと思います。
今やどのクラブでも当たり前となった、選手選考会=セレクション。
国内のサッカークラブやサッカー強豪校では、
セレクションを行わないところがないぐらいです。
新しくゼロから立ち上げるチームでも、選手募集ではなく、
セレクションを実施しているところもあります。
このチーム入団のためのセレクションですが、いつぐらいから
行うことが「当たり前」のようになってしまったのでしょうか。
本来ならば子供が楽しくボールを蹴れて、「サッカーが好き」という気持ちを失わせることなく、
なおかつフットボール選手としての力を育むことのできる環境が、理想だと思います。
しかし、セレクションは前述したように、選手選考会です。
入団希望者全員を受け入れるのではなく、チーム側がある基準を持ち、
その基準を満たす選手以外は受け入れないというものです。
フットボール界には「プレーヤーズファースト」という言葉が存在します。
選手のことを第一に考えましょう。
という意味です。
果たして、選手が入りたいと言っているにも関わらず、
実力不足を理由に入団を断ることは、
「選手第一」と言えるのでしょうか?
しかし、ここで一つ補足させていただきますが、選手を受け入れるクラブには、
選手全員を受け入れるだけの体勢が整っていなければいけません。
ですからコーチが不足していたり、練習会場が確保出来ないチームの場合は、
全員を受け入れたくても受け入れられないというジレンマがあるために、
セレクションを行っている場合も当然あります。
さて、そのセレクションですが、選考方法は多岐にわたります。
一般的に、短距離走、持久走、1対1、シュート、ゲーム、
が行われるようです。
コーチ陣にはたった一日の、たった数回のプレーで選手を見極めることが求められます。
セレクションへの参加者が多ければ多いほど、一人当たりのプレー回数は少なくなりますし、
全員の全プレーにコーチ陣の目が行き届くとは思えません。
良いプレーをした時に限って、誰も見ていなかったり、
たまたまミスをした時に見られてしまうなど、
不運が重なることもあるはずです。
また、もしセレクション当日に体調不良で調子が悪かったり、
何か家庭の事情などで、精神的に落ち込むようなことがあった場合に、
良いプレーが出来るわけがありません。
それらの事情はクラブ側には関係のない話ですし、
全員の言い分を聞いていたらきりがないので、
多分配慮されることはないと思います。
セレクション当日のプレーが全てなのだと言えます。
さて、そのセレクションにも是非があります。
プロのチームや勝利が求められるチームであれば、
純粋に戦力アップのためのセレクションになるので、
その時の実力で判断されるのは致し方ないと思います。
既存の選手よりも力がなければ戦力アップには貢献出来ないので、
セレクションで振るいにかけるのは当然と言えます。
しかし、これが小学生~高校生の場合だったらどうなるでしょうか。
小学生〜高校生という十代の子供たちは、いつ、何がきっかけで成長するか、
誰にもわかりません。本人にもわかりません。
その「いつ成長するかわからない可能性、潜在能力」は、
たった一日、たった数回のプレーで見分けることは、不可能に近いです。
たった一日の数時間だけでは選手の良さはわかりませんし、
選手自身も緊張をしていたり、体調不良だった場合は良いプレーが出来ません。
しかし、上記理由があったとしてもセレクション当日でのプレーで全てを
判断されてしまいます。
小学生〜高校生の育成年代の選手たちに、「落とすためのセレクション」は
厳しいのではないかなと思います。
選手とその親御さんたちは、様々な方法でチームやクラブの情報を得て、
そこで指導を受けたい、そこでプレーしたいという希望を持って、
セレクションを受けに来ます。
そのチームでやりたい!! という熱意ある子を、
セレクション当日だけの実力で判断して、
「君を受け入れることは出来ない」と告げるのは、
とても酷な話ではないでしょうか。
セレクション当日の実力では、そのチームでプレーするレベルではないかもしれませんが、
数カ月〜1,2年をそのチームで過ごすことにより、見違える程の選手になる可能性はあります。
その可能性を、セレクション当日だけの実力で判断するのは、
選手の将来性やチームの財産となる人材確保という意味で、
非常にもったいないことだと思いますし、そのセレクションの結果により、
挫折と感じてフットボールから離れてしまう選手が出てしまうことを考えると、
危険とも言えます。
幸い、私のクラブではユースチームもあるため、中学3年間だけでなく、
最長でユースチームを含めた6年間というスパンでの一貫指導が出来ているため、
小学6年生時には頼りなかった選手も、高校を卒業する頃には、
胸を張って外に送り出せるぐらいまで伸びてくれることがあります。
入団して来る選手は強豪クラブのセレクションに落ちたり、
サッカー部に入っていない選手や、所属チームでレギュラーをとるには
至っていない選手も数多くいますが、3〜5年指導することで、
見違える程の成長をみせてくれます。
たった2週間でもいきなり変わる子もいるので、
私は入りたいと言ってくれた子は全員見てあげたくなってしまいます。
試合自体は勝ったり負けたりですが、選手のコンディションや運が良い時には
上に行ける時があるため、他のチームの方や、入団を希望されている方の中には、
セレクションをやっていないことに驚く方もいます。
しかし、それはクラブ内にユースチームがあり、
長期間指導出来る体勢が整っているからこそ可能なことで、
学校単位やカテゴリーが独立しているところでは、
難しいのが現状なような気がします。
両親と選手ともに一番重要なのは、そのクラブ(チーム)に入った後に、
どれだけ伸びることが出来るかではないでしょうか。
小学生~高校生の進路は、そのクラブ(チーム)に入ることがゴールでない限り、
選手がプレーを楽しめるチーム(環境)が一番良いと思います。
各クラブの方針や、コーチ陣の指導方針もありますので、
セレクションが良いか悪いかを決めることは出来ません。
しかし、セレクションを実施する側も受ける側も、
相応のリスクがあるということを理解し、ポリシーを持って行動することが
求められると思います。
指導されている方々にはそれぞれ哲学があると思いますので、
一概に何が良くて、何が悪いとは言えません。
あくまで私個人の見解であるということを、
ご理解の上、読んでいただけたら幸いです。